Japanese
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特集 胸郭出口症候群
外傷性胸郭出口症候群
-―鞭打ち損傷症例の検討―
Traumatic thoracic outlet syndrome after whiplash injuries
井手 眞理
1
,
井手 淳二
2
Mari IDE
1
,
Junji IDE
2
1東病院 整形外科
2東病院 スポーツ医学センター
キーワード:
Traumatic thoracic outlet syndrome
,
Whiplash injury
,
Brachial plexus irritation
Keyword:
Traumatic thoracic outlet syndrome
,
Whiplash injury
,
Brachial plexus irritation
pp.179-184
発行日 2019年2月1日
Published Date 2019/2/1
DOI https://doi.org/10.18888/se.0000000776
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要旨:鞭打ち損傷患者119例中45例(37.8%)は腕神経叢刺激症状あり(TOS+)群と診断された。TOS+群では女性の割合がTOS−群より有意に高かったが,年齢や交通事故の状況は両群間に差はなかった。腕神経叢刺激症状の発現時期は受傷後平均6.7日であり,91%が受傷後2週間内であった。各身体所見と頭痛・嘔気・めまい・目の異常感・不快感・耳鳴り・不眠などの自律神経失調症状の出現頻度はTOS+群が有意に高かったが,精神心理状態については両群間に差はなかった。受傷後3カ月時の治療成績はTOS+群が有意に悪い結果であった。受傷6カ月後,TOS+群45例中19例(42.2%)は治療を継続し,11例の成績は良であり自律神経失調症状および精神心理状態の改善を認めたが,残りの8例は不変であり,その成績は不可であった。TOS−群では74例中5例(6.8%)のみが治療を継続していた。鞭打ち損傷後には外傷性TOSを生じることが多く,その予後は不良である。その適正な評価と治療には腕神経叢刺激症状,自律神経障害および精神心理的問題に目を向ける必要がある。
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