腫瘍と骨ミネラル代謝
腫瘍性骨軟化症とFGF23
福本 誠二
1
1東京大学医学部附属病院 腎臓・内分泌内科
キーワード:
腫瘍随伴症候群
,
鑑別診断
,
低リン酸血症
,
腫瘍性低リン血症性骨軟化症
,
線維芽細胞増殖因子-23
Keyword:
Diagnosis, Differential
,
Paraneoplastic Syndromes
,
Hypophosphatemia
,
Fibroblast Growth Factor 23
pp.69-75
発行日 2014年1月1日
Published Date 2014/1/1
DOI https://doi.org/10.19020/J02201.2014108390
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腫瘍性骨軟化症(tumor-induced osteomalacia;TIO)は,腫瘍随伴症候群の一つである.TIOの惹起因子としても同定された線維芽細胞増殖因子23(fibroblast growth factor 23;FGF23)は,腎近位尿細管リン再吸収と,1,25-水酸化ビタミンD濃度の低下を介する腸管リン吸収の抑制から,低リン血症を惹起する.TIO惹起腫瘍はFGF23を過剰産生し,TIO患者の血中FGF23濃度は高値を示す.また原因腫瘍の完全摘除により,血中FGF23は速やかに低下し,TIOは完治する.一方腫瘍の発見できない例など,TIO惹起腫瘍が摘除できない症例に対しては,FGF23活性を阻害する方法が新たな治療法として考えられている.
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