創刊60年記念特集 肩関節外科の進歩
肩鎖関節脱臼(Ⅰ) 解剖学的知見とWolter clavicular plate による治療
後藤 英之
1
1名古屋市立大学大学院医学研究科,整形外科
キーワード:
Acromio-clavicular joint
,
Dislocation
,
Wolter clavicular plate
Keyword:
Acromio-clavicular joint
,
Dislocation
,
Wolter clavicular plate
pp.1311-1315
発行日 2017年9月1日
Published Date 2017/9/1
DOI https://doi.org/10.18888/se.0000000156
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肩鎖関節は肩鎖靱帯,円錐靱帯,菱形靱帯の3 つの靱帯構造によって安定化される関節であり,これらの破綻によって脱臼が生じる。よって脱臼の治療はこれらの靱帯の確実な修復を行うことが目標となる。Wolter clavicular plateに代表される肩鎖関節のフックプレート固定は,整復位を確実に保持することができる利点があり,良好な成績が報告されているが,一時的な関節固定による,肩鎖関節のアライメントの変化や正常な関節運動を制限する可能性がある。また肩峰骨折や関節の不動化による関節症発症のリスクもある。一方で,靱帯再建術では初期固定力不足の問題がある。このように肩鎖関節脱臼の治療は未だ確立された方法はない。理想的には,靱帯修復と強固な関節固定を併用し安定性を保持しつつ,修復が進むにつれて固定力が漸減するような方法が望まれ,最終的には,靱帯の再建,修復によって関節の安定化が図られるべきである。
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