創刊60年記念特集 肩関節外科の進歩
肩鎖関節脱臼(Ⅱ) 肩鎖関節脱臼に対する鏡視下烏口鎖骨靱帯再建術
橋口 宏
1
,
阿部 一雅
1
,
岩下 哲
2
,
高井 信朗
2
1日本医科大学千葉北総病院,整形外科
2日本医科大学,整形外科
キーワード:
Acromioclavicular joint dislocation
,
Coracoclavicular ligament
,
Arthroscopic reconstruction
Keyword:
Acromioclavicular joint dislocation
,
Coracoclavicular ligament
,
Arthroscopic reconstruction
pp.1317-1323
発行日 2017年9月1日
Published Date 2017/9/1
DOI https://doi.org/10.18888/se.0000000157
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肩鎖関節脱臼新鮮例に対する治療は脱臼の程度,年齢や就労内容,スポーツ種目・競技レベルに応じて治療法の選択を行うが,これに加えて垂直および水平方向の不安定性を評価することも重要である。従来の観血的手術では三角筋切離や靱帯移行などの侵襲を伴い,また金属製内固定材を使用する場合には破損や逸脱,固定材抜去までの可動域制限などが問題であった。人工靱帯を用いた鏡視下烏口鎖骨靱帯再建術は,軟部組織への侵襲も少なく,強度の高い人工靱帯により強固な初期固定性が獲得できる。また,専用の手術器械を用いることで鎖骨・烏口突起の骨孔作製や靱帯の誘導・固定も容易となっている。垂直方向の不安定性に対して烏口鎖骨靱帯再建を行い,さらに水平方向の不安定性が残存する場合には肩鎖関節靱帯の修復または再建を追加する。本術式は,垂直方向に加えて水平方向の不安定性も制動することで,より良好な安定性を獲得できる有用な手術方法となる。
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