創刊60年記念特集 肩関節外科の進歩
骨欠損を伴う反復性肩関節脱臼に対する関節鏡視下腸骨移植術
渡海 守人
1
,
高橋 憲正
1
,
菅谷 啓之
1
1船橋整形外科病院,スポーツ医学・関節センター肩関節・肘関節部門
キーワード:
Arthroscopic surgery
,
Iliac bone grafting
,
Recurrent shoulder dislocation
Keyword:
Arthroscopic surgery
,
Iliac bone grafting
,
Recurrent shoulder dislocation
pp.1251-1259
発行日 2017年9月1日
Published Date 2017/9/1
DOI https://doi.org/10.18888/se.0000000148
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われわれは,反復性肩関節前方脱臼に伴う25%以上の関節窩骨欠損症例,20%以上の関節窩骨欠損を認めHill-Sachs 病変も深くて大きい症例,関節窩骨欠損が比較的大きいrevision症例を適応として関節鏡視下に腸骨移植を行ってきた。腸骨を20×10×8 mm 大で採取して,関節内へ導入する。スーチャーアンカーで関節窩に仮固定した後,3.0 mm のスクリュー2本で固定する。従来後方鏡視で5時ポータルを用いてスクリューを挿入していたが,最近では前外側ポータルから鏡視し,逆行性に作成した前内側ポータルよりスクリューを挿入している。従来法に比べ視野がよくなり,関節窩に平行に挿入可能となった。従来法の臨床成績は,術後の再脱臼はなく,Roweスコアは有意に改善した。術後の3D-CT評価では,8 割の症例で癒合とリモデリングを認め,残りの2 割の症例は著明な骨吸収を認めた。骨吸収した症例は,移植骨の位置がやや内側に設置された傾向があった。これらの課題は前方アプローチにより改善されうると考えている。
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