Japanese
English
鏡視下手術の進歩――小関節から脊椎まで Ⅱ.肩関節
人工骨を用いた反復性肩関節脱臼に対する関節鏡視下骨移植術
Arthroscopic Bankart repair with artificial bone graft augmentation for recurrent anterior shoulder instability
飯澤 典茂
1
,
米田 稔
1
,
岩下 哲
1
,
大久保 敦
1
,
中島 駿
1
,
高井 信朗
1
N. Iizawa
1
,
M. Yoneda
1
,
S. Iwashita
1
,
A. Okubo
1
,
S. Nakajima
1
,
S. Takai
1
1日本医科大学整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Nippon Medical School, Tokyo
キーワード:
glenoid bone loss
,
artificial bone graft
,
arthroscopic Bankart repair
,
recurrence rate
Keyword:
glenoid bone loss
,
artificial bone graft
,
arthroscopic Bankart repair
,
recurrence rate
pp.65-70
発行日 2020年4月20日
Published Date 2020/4/20
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei77_65
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は じ め に
関節窩骨欠損やコンタクト/コリジョンスポーツ(以下,コンタクトスポーツ)は,反復性肩関節脱臼に対する鏡視下Bankart修復術(arthroscopic Bankart repair:ABR)後再脱臼の危険因子である1,2).関節窩骨欠損と同時にHill-Sachs病変を認めるものはbipolar lesion3)とされ,glenoid trackを逸脱すると再脱臼につながる.Off trackを防ぐためには関節窩骨欠損の修復またはHill-Sachs病変の処置が必要となり,関節窩骨欠損に対しては烏口突起移行術4,5)や骨移植6,7)などの骨性再建が主に行われている.
われわれは,関節窩骨欠損例に対する鏡視下Bankart修復術の治療成績を向上させるため,関節窩骨性再建として関節鏡下自家腸骨移植術を行っていた.しかし,この方法では自家組織を犠牲にするとともに,移植骨の骨吸収などの問題点があった8).これらの問題を解決するため,骨伝導能の高いNEOBONE(Aimedic MMT社,東京)を素材として,関節窩骨欠損部を補塡する形状の人工骨を開発した9,10).現在われわれは,この人工骨を用いて,解剖学的であり自家組織を犠牲にしない鏡視下骨移植術による関節窩骨性再建を併用した,double anchor footprint fixation(DAFF)法による鏡視下Bankart修復術を行っている11).本稿ではこの術式を紹介するとともに,その術後成績を報告する.
© Nankodo Co., Ltd., 2020