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【要 旨】
目 的:高度な関節窩骨欠損を伴う反復性肩関節前方不安定症では,軟部組織修復のみを行っても術後再脱臼が高率に起こるため,一般に骨移植が必要とされている.われわれはこのような高度関節窩骨欠損を合併した反復性肩関節前方不安定症に対して,患者背景を考慮したうえで,関節鏡視下腸骨移植術を併用したBankart法を行っている.本研究の目的は本法の術後5年以上成績を報告することである.
対象および方法:2007年1月~2014年4月に高度関節窩骨欠損を伴う反復性肩関節前方不安定症に対して関節鏡視下腸骨移植術を行い,術後5年以上追跡調査した症例を検討した.長さ20mm,幅10mm,高さ8mmの腸骨移植片を2本のスクリューを用いて関節鏡下に関節窩前部に固定し,その後,Bankart修復を行った.スポーツ復帰状況,Roweスコア,Western Ontario Shoulder Instability Index(WOSI),可動域の評価,術前後X線でのKellgren-Lawrence(KL)分類を用いた変形性関節症評価と,最終追跡調査時の3D-CTで移植骨および合併症を評価した.
結 果:24例24肩が研究対象となり,平均追跡期間は8年であった.スポーツ競技者の全例が術後スポーツ復帰していた.Roweスコアは19から94,WOSIは1547から439と術後有意に改善した.屈曲可動域は158°から169°に術後有意に改善したが,内旋可動域はT8からT10に術後有意に悪化した.X線像のKL分類は術後有意に進行したが,grade 2の4例を除いて,ほかはgrade 1もしくはgrade 0であった.移植骨評価は優54%,不良13%であった.合併症として術後5年目に外傷性再脱臼の1例を経験した.
結 論:高度関節窩骨欠損を伴う反復性肩関節前方不安定症に対する関節鏡視下腸骨移植術を併用したBankart法は,術後最低5年の追跡調査で満足のいく結果を得た.
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