特集 非定型大腿骨骨折の病態と治療
序文
斎藤 充
1
pp.952-952
発行日 2017年7月1日
Published Date 2017/7/1
DOI https://doi.org/10.18888/se.0000000076
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近年,骨粗鬆症治療薬としての骨吸収抑制剤が広く使用されるようになり,本邦でもある年代においては,大骨近位部骨折が減少に転じるという素晴らしい成果を上げている。しかし,一方で,骨吸収抑制剤の長期使用による合併症である顎骨壊死や非定型大骨骨折の話題が学会や学術誌で頻繁に取りあげられるようになった。しかし,骨吸収抑制剤の使用は,非定型的大骨骨折の一つの危険因子にすぎない。骨吸収抑制剤を使用していなくても,非定型大骨骨折は発生する。こうした病態に対峙するには,病態を理解し,その要因,リスク因子を一つひとつ明らかにすることが必要である。リスクの多重化は,イベント発生率を飛躍的に高めるからである。日々,患者さんを目の前に診療をする整形外科医は,ガイドラインなどを熟知しつつ,過去のエビデンスだけでは対応しきれないことに関しては,個々の経験をもとにエキスパートとして最終判断をして治療にあたっている。
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