Japanese
English
特集 難治性びまん性肺疾患克服への取り組み
序文
An Attempt to Overcome the Intractable Diffuse Lung Diseases
杉山 幸比古
1
Yukihiko Sugiyama
1
1自治医科大学呼吸器内科
1Division of Pulmonary Medicine, Department of Medicine, Jichi Medical University
pp.353-354
発行日 2012年4月15日
Published Date 2012/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101928
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- Abstract 文献概要
画像上,びまん性の陰影を呈する肺疾患を「びまん性肺疾患」と呼んでいるが,このジャンルには数え方にもよるが100以上の多様な疾患が含まれるとされる.感染症としては粟粒結核やニューモシスチス肺炎,腫瘍性疾患としては癌性リンパ管症,免疫学的な疾患としては過敏性肺炎,好酸球性肺炎,原因不明のものとしては特発性間質性肺炎など数多くの疾患が挙げられる.
近年,この分野に関しては高分解能CT(HRCT)の発達,胸腔鏡手術による肺生検技術の進歩が診断面の大きな展開としてみられている.治療に関してもlymphangioleiomyomatosis(LAM)に対するラパマイシン(シロリムス),特発性肺線維症(IPF)に対するピルフェニドンなどの新しい進歩がみられている.病因の解明についても,LAMの病態の解明とmTORの役割や肺胞微石症の原因遺伝子の解明(埼玉医科大学・萩原弘一教授),肺胞蛋白症と抗GM-CSF抗体など大きな進展がみられた疾患も少なくない.肺胞微石症は疾患の性格・病態からはカルシウムの異常と思いがちであるが,発見された責任遺伝子は何とリンの代謝にかかわるものであった.しかしながらリンはカルシウムとリン酸カルシウムを形成するわけで,解明されてみるとなるほどという感がする.
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