特集 血菅炎症候群のすべて
5 多様な血管を首座とする血管炎
悪性関節リウマチ
安倍 能之
1
,
田村 直人
1
1順天堂大学医学部 膠原病内科
キーワード:
悪性関節リウマチ
,
リウマチ性血管炎
,
MRA
Keyword:
悪性関節リウマチ
,
リウマチ性血管炎
,
MRA
pp.1199-1208
発行日 2021年9月20日
Published Date 2021/9/20
DOI https://doi.org/10.18888/rp.0000001742
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
悪性関節リウマチ(malignant rheumatoid arthritis:MRA)とは,1954年にBevansらが提唱した関節リウマチ患者に全身性血管炎を合併した疾患概念である1)。一方で,我が国では「関節リウマチに全身性血管炎もしくは重篤な関節外病変を合併した病態」と定義され,国の指定難病となっている。欧米ではMRAの名称は使用されておらず,関節リウマチと全身性血管炎の合併例は「リウマチ性血管炎(rheumatoid vasculitis:RV)」と称される。MRAとRVの違いは,MRAには間質性肺炎や胸膜炎など血管炎との直接的関連が不明な関節外病変やリウマトイド因子高値などの免疫異常が診断基準項目に含まれていることである。厚生労働省難治性疾患研究班の活動の一環として1973年に悪性関節リウマチ研究班が設立された経緯もあり,我が国においてはRVよりもMRAがより一般的な疾患概念となっている2)3)。このため,我が国のMRAと欧米のRVの臨床研究を比較することは困難である。
Copyright © 2021, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.