特集 血菅炎症候群のすべて
4 小型血管炎・ANCA関連血管炎
IgA血管炎(Henoch-Shönlein紫斑病)
吉崎 歩
1
1東京大学大学院医学系研究科・医学部 皮膚科学
キーワード:
IgA血管炎
,
Henoch-Shönlein紫斑病
,
免疫複合体性小型血管炎
Keyword:
IgA血管炎
,
Henoch-Shönlein紫斑病
,
免疫複合体性小型血管炎
pp.1185-1191
発行日 2021年9月20日
Published Date 2021/9/20
DOI https://doi.org/10.18888/rp.0000001740
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IgA血管炎は長年Henoch-Schönlein紫斑病と呼ばれてきた疾患である1)。従来,血管炎症候群の病名には,発見者らの人名に由来するeponymが多くみられたが,2012年の改定Chapel Hill分類において,病名をeponymから病態をより反映する名称へ改めることが決定された1)2)。IgA血管炎は,その名のとおり組織にIgAを主体とする免疫複合体の沈着を特徴とする血管炎である。主な症状として,palpable purpuraの名称で有名な触知可能な紫斑(図1),関節痛や関節炎,腹部の痛み,腎障害を呈する。一般的なIgA血管炎の疾患イメージは,小児に発症し,安静や補液などで自然と軽快する良性な疾患である。しかしながら,重症化することもあり,またその頻度は成人において高いため,症状が遷延化・重症化するような場合や成人患者においては,注意深いフォローアップが必要である。前述のpalpable purpuraは皮膚症状から気づかれる。本稿では,IgA血管炎の疫学,診断,症状,治療について概説した。
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