Japanese
English
症例報告
広範な潰瘍性病変と蛋白漏出性胃腸症を伴ったHenoch-Shönlein紫斑病の1例
A case of Henoch-Shönlein purpura associated with protein-losing gastroenteropathy and extensive skin ulceration
中川 聡
1
,
熊坂 久美子
2
,
熱海 正昭
2
Satoshi NAKAGAWA
1
,
Kumiko KUMASAKA
2
,
Masaaki ATSUMI
2
1東北大学医学部皮膚科学教室
2東北労災病院皮膚科
1Department of Dermatology, Tohoku University School of Medicine
2Department of Dermatology, Tohoku Rosai Hospital
キーワード:
Henoch-Shönlein紫斑病
,
蛋白漏出性胃腸症
Keyword:
Henoch-Shönlein紫斑病
,
蛋白漏出性胃腸症
pp.23-26
発行日 1995年1月1日
Published Date 1995/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412901411
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45歳,男.3週間前からの両下腿の有痛性潰瘍を主訴に受診した.同部位に小水疱を伴う地図状の潰瘍があり,その周辺に粟粒大の紅色丘疹が散在していた.組織学的には,真皮に好中球主体の細胞浸潤,細小血管のフィブリノイド変性および広範な赤血球の漏出を認めた.検査所見では低アルブミン血症があり,四肢に著明な浮腫がみられた.入院数日後より悪心,血性嘔吐があり,内視鏡で十二指腸下降部の著しいびらんを認めた.その後腹痛が強度となり筋性防御も出現し,穿孔が疑われたが,開腹術所見では空腸と回腸全域に強い発赤腫脹と多量の腹水を認めたのみで,穿孔はみられなかった.術後にステロイド療法を開始し,以後は順調に回復した.皮疹が広範な潰瘍を主体とし,さらに蛋白漏出性胃腸症を伴って重篤な腫部症状を生じた点が本症として特異である.
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