特集 血菅炎症候群のすべて
3 中型血管炎
川崎病―治療・予後
鈴木 啓之
1
,
末永 智浩
2
,
垣本 信幸
2
,
鈴木 崇之
2
,
土橋 智弥
2
,
武内 崇
3
1和歌山つくし会和歌山つくし医療・福祉センター 小児科
2和歌山県立医科大学 小児科
3海南医療センター 小児科
キーワード:
川崎病
,
初期標準治療
,
初期強化治療
,
冠動脈病変(CAA)
,
長期予後
Keyword:
川崎病
,
初期標準治療
,
初期強化治療
,
冠動脈病変(CAA)
,
長期予後
pp.1113-1123
発行日 2021年9月20日
Published Date 2021/9/20
DOI https://doi.org/10.18888/rp.0000001732
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川崎病は,1967年にアレルギー誌に50症例の詳細な記録1)が発表されてから54年が経過したが,原因が今なお不明であるため根本的治療法も確立されていない。急性期治療については,様々の標準治療が提唱され変遷を繰り返してきた2)。もとより,川崎病急性期治療の最大の目的は,“血管炎という血管壁の破壊状況をいかに早く抑えるか”であり,その結果として,“川崎病の最大の合併症である冠動脈後遺症(coronary artery abnomalities:CAA)の発症率を最大限ゼロに近づける”という治療の目標に変わりはない。CAAは20年前の第15回全国調査(1997〜1998年)ではその頻度は7%であり,最新の第25回全国調査(2017〜2018年)3)では2.6%と,その頻度は3分の1近くに減少しているが,それぞれの調査における患者発生数が12,966人から32,528人に増えたのに対し,CAA発症の実人数は908人,845人と,ほとんど減少していない(図1)。少子化の進行を考慮すると,CAA発症数は減少したとは言えず,急性期治療について課題はまだ多い。
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