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我々は骨転移で苦しむ患者に対し,放射線治療を行うことで,その苦痛が軽減し良好なquality of life(QOL)が得られることを目の当たりにして,骨転移の疼痛緩和に対する放射線治療の優れた効果を実感する。そのため,放射線治療は骨転移診療ガイドラインでもevidence-based medicine(EBM)の確立した治療法の一つとなっており,そしてoncologic emergencyである骨転移による脊髄圧迫(metastatic spinal cord compression:MSCC)に対しても放射線治療の有効性が示されている。しかし,注意しなければならないのは,これまでの多くの研究の治療対象症例が放射線感受性の高い乳癌,前立腺癌の骨転移で占められており,放射線治療抵抗性である腎癌,肝臓癌などの骨転移症例はあまり含まれていないという点である。新規抗がん剤,分子標的薬,免疫チェックポイント阻害薬などが存在しない頃は腎癌,肝癌などの担がん患者は今よりも短命で,おそらくは骨転移が出現するまでには多くが他界していたためと思われる。ゆえにこれらのがん腫が対象症例に含まれることも少なかったものと推測するが,有効な治療法が毎年のように出現する今日では,腎癌,肝癌などの患者でも以前とは比べものにならないほど,長期生存が可能となった。皮肉にもそのお陰で,我々は今まで以上にこれらのがんの骨転移患者に遭遇する機会が増えてきた。これまでの治療効果を信じ,同様の放射線治療を行うと,多くの患者は生存中に症状再燃をきたし,再び難治性疼痛などの症状に苦しむこととなる。同様なことが緩和病棟やホスピスでも起こり,症状緩和に苦慮する結果となる(図1)。最近では再照射の有効性も示されてきたが,日本ではまだ十分なコンセンサスは得られていない。また,外照射のみでは対応が困難である有痛性多発骨転移に対する緩和治療としてストロンチウム89(Sr-89)による内照射療法も導入されたが,採算がとれなかったのか,EBMの確立した治療法であるにもかかわらず,この世から消え去ってしまった。
Local pain secondary to inoperable radiotherapy-failure bone metastasis is difficult to treat with pharmacotherapy and is therefore a challenging therapeutic problem. Radiotherapy combined with transarterail chemoembolization is a promising treatment for radiotherapy-refractory bone metastasis, as it results in higher objective response, and post-radiotherapy-skeletal-related events-free rates.
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