診療
PET/CT検診におけるS 状結腸憩室症の有病率とリスク評価
林田 孝平
1
,
浜中 恭代
1
,
麓 佳奈子
1
,
村上 陽子
2
,
瀬古 安由美
2
,
藤田 祝子
3
1武田病院 画像診断センター
2滋賀医科大学 放射線科
3ふじた医院
キーワード:
S字結腸
,
憩室症
,
PET/CT
Keyword:
S字結腸
,
憩室症
,
PET/CT
pp.1819-1824
発行日 2017年12月10日
Published Date 2017/12/10
DOI https://doi.org/10.18888/rp.0000000214
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腹痛の原因解明にPET/CT の画像が役に立つ。癌細胞,炎症細胞のグルコース代謝亢進を18F—FDG にて観察することにより,大腸癌,潰瘍性大腸炎,大腸憩室炎などが診断できる1)2)。大腸憩室炎は,CT 画像にて大腸憩室を確認して,PET 画像にてビーズ状の集積があれば,診断できる3)。診断が確定すれば,過敏性大腸炎症候群4)をはじめとする機能性腹痛症候群との鑑別ができ,腹痛のコントロールも容易である。大腸憩室炎の腹痛は,急性腹症にいたるものから,軽度の腹部症状まで症状のスペクトルが広く,大腸憩室の発生頻度は,5.5〜8.3%で,男性に多いと報告されている。また大腸憩室には右側型(盲腸,上行結腸,横行結腸右半部)と左側型(横行結腸左半部,下行結腸,S 状結腸)に分類されており,従来は我が国では右側型が多かった。しかし近年,食習慣や生活様式の欧米化あるいは加齢などの要因で,左側型大腸憩室の症例が増加している。左側型憩室の成因は,肉食などの摂取増加,食物繊維の摂取が減少したため,便秘,腸管の攣縮が起こりやすくなり,これに伴い腸管内圧の上昇を惹起しやすくなったと報告されている5)。とくに解剖学的に内腔が狭く,筋層が発達したS 状結腸で憩室が生じやすいと報告されている6)。
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