症例
放射線治療後に発生した骨盤部骨軟骨腫の1例 PET/MRIの有用性について
小田原 裕子
1
,
川波 哲
2
,
神谷 武志
3
,
鷺山 幸二
3
,
山崎 誘三
3
,
渡邊 祐司
2
,
水島 明
1
,
本田 浩
3
1JCHO 九州病院 放射線科
2九州大学大学院医学研究院 分子イメージング・診断学
3同 臨床放射線科学
キーワード:
放射線治療
,
放射線関連腫瘍
,
骨軟骨腫
,
PET
,
MRI
Keyword:
放射線治療
,
放射線関連腫瘍
,
骨軟骨腫
,
PET
,
MRI
pp.1289-1292
発行日 2017年10月10日
Published Date 2017/10/10
DOI https://doi.org/10.18888/rp.0000000131
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骨腫瘍の画像診断は,骨化(軟骨性,膜性)や石灰化(異所性,異栄養性)を単純X 線あるいはCT の所見を用いて形態学的に詳細に検討するスタイルとして,その体系が確立されてきた1)2)。従来からのX 線を用いた画像診断体系が臨床的に有用なことは論をまたないが,その画像は①腫瘍細胞のaggressiveness や,②腫瘍細胞や腫瘍周囲の細胞が作り出す骨化・石灰化を視覚化したものであり,腫瘍細胞自体の生物学的な活性や治療後の効果の判定に限れば,必ずしも十分な情報を描出していない可能性がある2—7)。PET/MRI は2010年代に入り開発され,本邦では2013 年4 月に保険収載がなされ,2014 年4 月に九州大学病院分子イメージングセンターにPhilips 社製PET/MRI(本邦第1 号機,国内2 台目のPET/MRI)が導入された。FDG などをポジトロン放出核種で標識し,分子プローブの分布や濃度を描出するPET と,高い空間分解能と組織コントラストを有し,通常のT1 強調像,T2 強調像,ガドリニウム造影後T1強調像に加え,様々なMRI の撮影法を組み合わせ,骨腫瘍において画像診断の新たな展開が期待されている。一方,現在に至るまで外科療法,化学療法,放射線療法,免疫療法などの骨腫瘍に対する治療法の高度化と精緻化も日進月歩であり,治療後に生じる二次性病変の画像診断上の知見にも留意する必要がある。今回,我々は放射線治療後に発生した骨軟骨腫の1 例を呈示し,今日的な「骨腫瘍に対するPET/MRI の有用性」について考察を加え,報告する。
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