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ドーパミントランスポータ(DAT)のsinglep hoton emission computed tomography(SPECT)イメージングは,パーキンソン症候群においてシナプス前ドーパミン・ニューロン機能障害の評価に使用されている1—3)。2000 年にEuropeanMedicines Agency(EMA)はドーパミントランスポータイメージング製剤として[123I]FP—CIT を承認した4)。本邦では厚生労働省が2013 年に承認し,パーキンソン病や神経変性疾患に関連する診断において最も広く使用されている診断薬の一つである。この薬剤は線条体におけるDAT分布密度を反映しており,本態性振戦と特発性パーキンソン病5),レビー小体型認知症とアルツハイマー病などの鑑別診断に用いられている6)。[123I]FP—CIT イメージングにおいて,視覚的評価とともに数値による客観的判断に用いる定量的指標として,参照部位の非特異的な集積に対し,線条体への特異的結合による集積の程度を表すものがあり,specific binding ratio(SBR)やdistributionvolume ratio(DVR)などが用いられている7)8)。これらの定量的指標は,線条体や参照部位に手動または自動で設定されるregion-of-interest(ROI)やvolume-of-interest(VOI)を用いて求められる。ドーパミントランスポータイメージング製剤である[123I]FP—CIT,[123I]β—CIT,[99mTc]TRODAT—1 の健常者線条体DAT 結合は10 年間で2.9〜10.9%の線形または非線形の低下を示すという報告がある9—12)。また,健常者の女性は男性に対して2.8〜31.1%高いと報告されている12—14)。したがってDAT イメージングにおける線条体DAT 結合の定量値であるSBR やDVR の判断において,性別と加齢による健常者データを診断に用いることは重要である。線条体への集積は,加齢に伴い一定の割合で低下するため9),読影に際し患者の年齢を考慮する必要があり,年齢ごとの正常データベースや参考値を判定の基準とすることが望ましいとされている15)。しかしSBR やDVR などの日本人健常者の性別,年齢による正常データベースは確立されていない。
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