手術手技
右剣状突起下ポートを用いた腹腔鏡下肝切除における中肝静脈露出法
川﨑 洋太
1
,
大井 秀之
1
,
山﨑 洋一
1
,
伊地知 徹也
1
,
又木 雄弘
1
,
大塚 隆生
1
1鹿児島大学消化器外科
キーワード:
腹腔鏡下肝切除
,
中肝静脈
,
Cranio-caudal approach
Keyword:
腹腔鏡下肝切除
,
中肝静脈
,
Cranio-caudal approach
pp.1963-1968
発行日 2025年12月15日
Published Date 2025/12/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000004756
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腹腔鏡下肝切除は,多数の症例をもとにした大規模データや,国内外のガイドラインの整備により,その安全性と有効性は科学的に裏付けられており,標準的治療法として確立されつつある1, 2)。しかし,肝切除において肝実質を切離する操作は依然として技術的に難度が高く,なかでも中肝静脈(middle hepatic vein;MHV)周辺の処理は,出血や血管損傷といった合併症のリスクを伴うため,高度な技術と慎重な操作が要求される3, 4)。そのような課題に対応すべく,近年では経験の蓄積に加え,デバイスや手術支援技術の進化により,これらの難症例に対する新たな手技の工夫が報告されている。なかでも,MHVを指標とした解剖学的肝切除の場面では,肝の頭側から尾側方向へ実質を切離していくcranio-caudalアプローチが注目されている4)。この方法は,LLR特有の術野を活かしつつ,肝静脈を根部から明瞭に露出できるため,術中の出血制御や合併症の予防に寄与すると考えられている。

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