手術手技
S6領域が中肝静脈にドレナージされている症例における腹腔鏡下肝前区域切除での工夫
山本 有祐
1
,
蘆田 良
2
,
生駒 久視
1
,
森村 玲
1
,
今村 泰輔
1
,
大辻 英吾
1
1京都府立医科大学大学院医学研究科消化器外科学
2静岡県立静岡がんセンター肝胆膵外科
キーワード:
腹腔鏡下前区域切除
,
中肝静脈
,
右肝静脈
Keyword:
腹腔鏡下前区域切除
,
中肝静脈
,
右肝静脈
pp.1507-1516
発行日 2024年8月15日
Published Date 2024/8/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000004031
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肝前区域切除では,とくに右肝静脈沿いの解剖学的変異が多く1, 2),解剖学的特徴を把握して手術を行うことが重要である。肝S6領域の流出路は多くの症例では右肝静脈(right hepatic vein;RHV)であるが,肝S6領域がS5を貫通して中肝静脈(middle hepatic vein;MHV)へ合流する静脈枝(V6-5 MHV枝)で還流される症例があることが報告されている3-5)。このような症例では,Rex-Cantlie line先行離断時にV6-5 MHV枝のMHV合流部を先行離断した場合,right intersectional plane離断時にS5-6領域がうっ血することで出血量が増加し肝離断に難渋する可能性がある。また,right intersectional planeのS5-6間離断時にV6-5 MHV枝の末梢枝が離断面と直交する形で出現する。術前からV6-5 MHV枝がS5-6間に出現することを把握していないと,これをRHVの末梢枝と誤認し,V6-5 MHVを露出する形で肝離断を進めていき,right intersectional planeから逸脱して肝離断を進めてしまう危険性を伴う。また,V6-5 MHV枝を有する症例では,右肝門およびright intersectional planeにさまざまな解剖学的破格を伴うことが多い2)。とくに拡大視効果で常時術野を俯瞰できない腹腔鏡手術において,右肝門操作およびright intersectional planeの離断を要する肝前区域切除では注意を要する。
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