特集 必携 消化器救急疾患の治療戦略と緊急手術
Ⅱ.各論(治療戦略) 5)急性虫垂炎
赤木 智徳
1
,
猪股 雅史
1
1大分大学消化器・小児外科
キーワード:
急性虫垂炎
,
腹腔鏡手術
,
手術手技
Keyword:
急性虫垂炎
,
腹腔鏡手術
,
手術手技
pp.1203-1208
発行日 2025年7月15日
Published Date 2025/7/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000004539
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
虫垂切除術は多くの外科医とってトレーニング開始初期に経験する手術の1つである。その理由は解剖学的に理解しやすく,再建を伴わないことなどがあるかと思われる。しかし,虫垂炎にはカタル性から壊疸性まであり炎症の程度はさまざまであり,複雑性虫垂炎においては炎症が周囲臓器にまで波及し,周囲と強固に癒着している症例もあることから,実臨床において手術の難度は大きく異なる。安全で確実な手術を行うためには正しい解剖の理解,適切な治療戦略が最も重要であり,基本的な解剖理解に加えて,その破格についても認識しておくことが必要である。急性虫垂炎は日常診療でよく遭遇する疾患である。従来は緊急開腹手術が標準治療であったが,近年は腹腔鏡手術が普及し,「技術認定取得者のための内視鏡外科診療ガイドライン2022年版」に基づき,腹腔鏡下虫垂切除術が標準術式とされ,広く普及している。本稿では腹腔鏡下虫垂切除術に関する手術適応から手術手技を中心に述べる。

Copyright © 2025, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.