特集 必携 消化器救急疾患の治療戦略と緊急手術
Ⅱ.各論(治療戦略) 4)絞扼性腸閉塞の治療戦略(各論)
松橋 延壽
1
,
山田 遼
1
,
浅井 竜一
1
,
横井 亮磨
1
,
田島 ジェシー雄
1
1岐阜大学医学部附属病院消化器外科・小児外科
キーワード:
絞扼性腸閉塞
,
手術
,
治療戦略
Keyword:
絞扼性腸閉塞
,
手術
,
治療戦略
pp.1195-1202
発行日 2025年7月15日
Published Date 2025/7/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000004538
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絞扼性腸閉塞(strangulated bowel obstruction)は,腸管の血流障害を伴う腸閉塞であり,早期診断と適切な治療が大きく予後を左右するきわめて重大な疾患である。原因として,腸捻転,ヘルニア嵌頓,癒着,腸重積などの疾患が挙げられる。血流障害が進行すると腸管壊死を引き起こし,敗血症ショックに陥り,大量腸管切除を行うことになると致死的状況にもなるため診断および治療に迅速な対応が求められる。治療の基本は,早期診断,迅速な外科的介入,適切な周術期管理である。診断にはCTが有用であり,とくに造影剤を用いた画像診断により腸管虚血の評価が可能である。保存的治療が困難な場合や腸管壊死が疑われる場合には,速やかな手術が必要となる。手術では絞扼解除,壊死腸管の切除,吻合を行うが,患者の全身状態や腸管のダメージを考慮しストーマ造設が検討されることもある。また,周術期管理として,適切な輸液,抗菌薬投与,循環動態の管理が重要である。絞扼性腸閉塞は早期診断と迅速な治療により,腸管壊死の進行を防ぎ,予後改善を図ることが治療戦略の鍵となる。

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