増刊号 産婦人科医のための緊急対応サバイバルブック
Ⅲ. 産科編
❹妊産褥婦の合併疾患への対応法
急性虫垂炎
太田 菜美
1
,
南 佐和子
1
,
井箟 一彦
1
1和歌山県立医科大学産科・婦人科学教室
キーワード:
妊娠
,
急性虫垂炎
,
右下腹部痛
Keyword:
妊娠
,
急性虫垂炎
,
右下腹部痛
pp.303-307
発行日 2024年4月20日
Published Date 2024/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409211245
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29歳の初産婦.妊娠31週5日より切迫早産のため前医に入院中であった.妊娠35週5日より38.8℃の発熱,右下腹部痛,腹膜刺激症状が出現し,炎症反応(WBC 13,500/μL,CRP 10.8mg/dL)の高値を認め,当院へ搬送となった.単純CTで虫垂の腫大を認め,先端部に液体貯留,周囲の脂肪織濃度の上昇を認めた.穿孔の診断には至らなかったが膿瘍形成の可能性があり,急性虫垂炎の疑いで,発症から40時間で緊急手術を施行した.腹部CTで虫垂は臍高付近に認めたため,臍を中心として約12cm傍腹直筋切開を行った.虫垂は穿孔しており膿汁様腹水を認めた.妊娠子宮を刺激しないよう虫垂を切除後,腹腔内洗浄を行った.術後も腹膜炎症状が改善せず,妊娠継続,経腟分娩は困難と判断し,2日後の36週1日に緊急帝王切開術を施行し,2,549gの女児を分娩した.黄白色の混濁した腹水を認め,腹腔内洗浄とドレナージを施行した.術後麻痺性イレウスを認め,絶食管理を要したが,帝王切開術後12日目に退院となった.
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