特集 急性腹膜炎の治療戦略と手術
Ⅱ.原因疾患別の治療戦略 5)絞扼性腸閉塞に合併した急性腹膜炎に対する手術
小山 文一
1
,
久下 博之
1
,
岩佐 陽介
1
,
高木 忠隆
1
,
藤本 浩輔
1
,
庄 雅之
1
1奈良県立医科大学消化器・総合外科学教室
キーワード:
絞扼性腸閉塞
,
closed loop obstruction
,
急性腹膜炎
Keyword:
絞扼性腸閉塞
,
closed loop obstruction
,
急性腹膜炎
pp.321-327
発行日 2024年3月15日
Published Date 2024/3/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000003758
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わが国では,腸管の通過障害を閉塞機転の有無に関わらず“イレウス”と総称し,成因によって機械性イレウスと機能性イレウスに分類してきたが,急性腹症診療ガイドライン2015発刊以降は,機能性イレウス(腸管麻痺)のみをイレウスとし,従来の機械性イレウスはイレウスとは呼ばず,腸閉塞と定義されるようになった1)。現在の腸管通過障害の概念を図1に示す。すなわち腸閉塞は器質的な閉塞機転を有する腸管閉塞を意味し,血流障害の有無によって絞扼性(複雑性)と単純性(非絞扼性)に分けられている。絞扼性腸閉塞では腸管の血流障害が急速に進行し,発症早期から急性腹膜炎を呈する。死亡率の高い疾患であり,医療訴訟の多い疾患でもある。早期診断と緊急手術が決定的に重要な疾患である。
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