特集 直腸癌局所再発に対する治療戦略と手術
Ⅱ.各論(手術手技) 7)腸管と近接する直腸癌局所再発に対する重粒子線と手術の集学的治療
田代 恵太
1
,
岡本 耕一
1
,
永田 健
1
,
梶原 由規
1
,
山寺 勝人
1
,
瀧山 博年
2
,
山田 滋
2
,
上野 秀樹
1
1防衛医科大学校外科
2量子科学技術研究開発機構 QST病院
キーワード:
重粒子線治療
,
吸収性スペーサー
,
予防的被照射腸管切除
Keyword:
重粒子線治療
,
吸収性スペーサー
,
予防的被照射腸管切除
pp.975-981
発行日 2025年5月15日
Published Date 2025/5/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000004464
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直腸癌局所再発症例における根治切除後の3年全生存率は60~64%,3年無局所再発生存率は50~75%と報告されている1, 2)。わが国の大腸癌治療ガイドライン(2024年版)ではR0切除が可能と判断した場合には根治切除が推奨されているものの,手術侵襲とリスク,術後のQOL(quality of life)を十分に考慮する必要があると記載されている。その理由は,狭い骨盤内という解剖学的特性にある。再発巣は容易に周辺臓器へ浸潤し,Harrisら1)の切除術を施行した局所再発533症例の報告をみても,永久人工肛門造設率は60%,尿路変更率が54%であり,拡大手術を余儀なくされる頻度が高いことがうかがえる。また,骨盤側方に再発巣が存在する場合には根治切除率が低くなることが報告されている3)。そこで,術前治療(放射線治療あるいは化学放射線療法)を施行することでR0切除率を向上させる試みが報告されているものの,有効性と安全性は十分に実証されていない。直腸癌局所再発に対する術前化学放射線療法の意義を明らかにすることを目的としたわが国のランダム化比較試験:JCOG1801の結果がまたれるところである。

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