直腸癌局所再発に対する治療
直腸癌局所再発に対する重粒子線治療の成績と今後の展望
磯崎 由佳
1
,
山田 滋
,
川城 壮平
,
辻 比呂志
,
鎌田 正
,
松原 久裕
1量子科学技術研究開発機構放射線医学総合研究所病院 消化管腫瘍科
キーワード:
術後合併症
,
腫瘍再発
,
直腸腫瘍
,
骨盤内腫瘍
,
治療成績
,
重粒子線治療
,
再照射
Keyword:
Re-Irradiation
,
Pelvic Neoplasms
,
Neoplasm Recurrence, Local
,
Postoperative Complications
,
Rectal Neoplasms
,
Treatment Outcome
,
Heavy Ion Radiotherapy
pp.1497-1501
発行日 2016年12月1日
Published Date 2016/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2017034892
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
重粒子線は陽子線のシャープな線量分布に加えて,強力な殺細胞効果を有する放射線である.この特性により腫瘍周囲にある放射線感受性の高い臓器を避け,従来X線に抵抗性であった腫瘍にも高い抗腫瘍効果を示す「より強く,より優しい」放射線治療である.放射線医学総合研究所(放医研)では,2001年4月から直腸癌術後再発に対する重粒子線治療を開始した.現行の線量での治療例197例の解析では,5年局所制御率は89%,5年生存率は52%と切除成績に匹敵するものであった.また,X線照射後の骨盤内局所再発に対する再照射として重粒子線治療を62例に施行した.有害事象の発生は初回重粒子線治療例よりも多い傾向にあるが,5年局所制御率87.2%,5年生存率43.9%であり良好な成績であった.重粒子線治療はすでにX線治療後の症例に対しても有効な治療手段であることが示された.
©Nankodo Co., Ltd., 2016