特集 ロボット支援結腸癌手術の現在地
Ⅱ.各論 5)ロボット支援結腸癌手術における体腔内オーバーラップ吻合のコツと方法
南原 翔
1
,
山口 智弘
1
,
松井 信平
1
,
向井 俊貴
1
,
秋吉 高志
1
,
福長 洋介
1
1がん研究会 有明病院消化器センター大腸外科
キーワード:
ロボット支援結腸癌手術
,
体腔内吻合
,
オーバーラップ吻合
Keyword:
ロボット支援結腸癌手術
,
体腔内吻合
,
オーバーラップ吻合
pp.1643-1650
発行日 2024年9月15日
Published Date 2024/9/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000004070
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内視鏡外科手術(腹腔鏡手術およびロボット支援手術)の普及とともに,吻合を体腔内で行うか体腔外で行うかの議論が多くなされるようになった。これまで主流であったのは体腔外吻合で,その利点は,手術時間が短いこと,多くの外科医にとって慣れていることが挙げられる1)。しかし,腹壁が厚い症例や腸間膜が短い症例の場合は,腸間膜の過度の牽引により,腸間膜の損傷や出血をきたすことがある。一方,体腔内吻合は,腸間膜処理と吻合を腹腔内で行うため,それらの危険性が減少する。これまで,体腔内吻合と体腔外吻合を比較した後ろ向き試験は多数報告されているが,前向きランダム化比較試験は少数例の比較のみである。7つのランダム化比較試験をメタアナリシスした報告では,手術時間が体腔内吻合において有意に長いが,麻痺性イレウスが少なく,創長が短いことが報告された1)。腸管を体外に露出する時間が短いこと,腸間膜の過度の牽引が少ないこと,腸管の授動範囲が少ないこと,腸間膜の捻れのリスクが軽減していることなどが理由として挙げられている2)。
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