特集 肝移植手術を再考する
わが国の肝移植医療の現状と体外肝切除への展開
大段 秀樹
1
,
小林 剛
1
,
井手 健太郎
1
,
大平 真裕
1
,
田原 裕之
1
,
黒田 慎太郎
1
1広島大学大学院医系科学研究科消化器・移植外科学
キーワード:
肝移植
,
体外肝切除術
,
自家移植
Keyword:
肝移植
,
体外肝切除術
,
自家移植
pp.1-7
発行日 2023年1月15日
Published Date 2023/1/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000003111
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肝臓移植は,末期肝疾患の根本的治療手段である。欧米では,脳死ドナーからの肝臓で移植が活発に行われてきた。一方,わが国では1997年に脳死臓器移植法が成立し,2010年には改訂法案が施行されたものの,脳死肝移植が普及せず,健康な家族から提供される生体部分肝移植がいまだに主流である。しかし,健常人の犠牲を伴う治療より世界的に普及している死体(脳死)肝移植のほうが望ましく,生体部分肝移植は脳死肝移植が普及するまでの一時的手段であるべきとの指摘がある。一方で,最も安全な時期に,予定手術で条件の良いグラフトを移植できることは,脳死肝移植と比較した生体部分肝移植の有利な点であり,欧米やアジア諸国でもわが国に追従して生体肝移植が行われている。
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