Japanese
English
臨床研究
肝細胞癌に対する肝移植における臨床試験の現状と方向性
Analysis of clinical trials of liver transplantation for hepatocellular carcinoma
海道 利実
1
,
上本 伸二
1
Toshimi KAIDO
1
1京都大学肝胆膵・移植外科
キーワード:
肝細胞癌
,
肝移植
,
臨床試験
Keyword:
肝細胞癌
,
肝移植
,
臨床試験
pp.409-412
発行日 2008年3月20日
Published Date 2008/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407102074
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに
肝移植は肝硬変をはじめとする非可逆性慢性肝不全や劇症肝炎などの急性肝不全,代謝性肝疾患など種々の良性肝疾患に対する究極的治療法として世界中で広く行われてきた.当初,肝細胞癌に対する肝移植は進行肝細胞癌に対して行われたため成績不良であったが,1996年にMazzaferroら1)によって提唱されたミラノ基準により,5cm以下・単発,あるいは3cm以下,3か所以下の症例に限定すれば良性肝疾患と同等の移植成績が得られることが報告されて以降,症例を選択すれば肝移植のよい適応であると考えられるようになった.しかし,肝細胞癌に対する肝移植症例数の増加に伴い,種々の課題や問題点が明らかになってきている.
近年,あらゆる臨床領域においてevidence-based medicine(以下,EBM)の概念が導入され,なかでも最もエビデンスレベルが高いとされるランダム化比較試験はEBMの実践において重要な役割を果たしている.肝移植の分野においても例外ではなく,諸問題を解決するべく精力的に臨床試験が行われてきた2).肝細胞癌に対する肝移植に関する臨床試験の現状と方向性について文献的検討を行ったので報告する.
Copyright © 2008, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.