手術手技
正中弓状靱帯切離術における手術手技の工夫
伊藤 橋司
1
,
竹村 信行
1
,
國土 典宏
1
1国立国際医療研究センター病院肝胆膵外科
キーワード:
正中弓状靱帯症候群
,
正中弓状靱帯切離術
Keyword:
正中弓状靱帯症候群
,
正中弓状靱帯切離術
pp.2003-2008
発行日 2022年12月15日
Published Date 2022/12/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000003084
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正中弓状靱帯症候群は,腹腔動脈が正中弓状靱帯により圧迫されることにより生じる臨床症候群である。正中弓状靱帯症候群の発生率は明らかではないが,30~50歳の女性(男女比1:4),および痩せた体型の患者に多く見られる1)。病態としては,腹腔動脈の外因性圧迫により上腹部の血流制限と臓器虚血がみられ,吐き気,嘔吐,体重減少,食後の心窩部痛などの症状が現れる1)。さらに,血行動態の変化により,上腸間膜動脈から腹腔動脈領域への側副血行路が発達し,膵頭部を中心として末梢動脈瘤が形成され,腹腔内出血の原因となることがある2,3)。正中弓状靱帯症候群に対する最も一般的な治療法は,腹腔動脈を圧迫する組織を外科的に切離する正中弓状靱帯切離術である4)。
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