手術症例報告
横径15cmを超える腹壁瘢痕ヘルニアに対する腹腔鏡下IPOM法後にガーゼ圧迫固定が有用であった1例
三浦 智也
1
,
辻仲 眞康
1
,
中野 徹
1
,
山本 久二治
2
,
片寄 友
2
,
柴田 近
1
1東北医科薬科大学外科学第一(消化器外科)
2東北医科薬科大学外科学第一(肝胆膵外科)
キーワード:
腹壁瘢痕ヘルニア
,
IPOM法
Keyword:
腹壁瘢痕ヘルニア
,
IPOM法
pp.1637-1642
発行日 2022年9月15日
Published Date 2022/9/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000002976
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腹壁瘢痕ヘルニアは腹部手術において11~20%に発症するといわれ1),消化器外科医の多くが経験する合併症の1つである。腹壁瘢痕ヘルニア手術の問題点は術後再発であるが,メッシュで補強する術式が用いられるようになり,さまざまな術式が開発され,それに伴い再発率の改善がみられる2)。アプローチの違いやメッシュ留置位置の違い,腹壁欠損部の縫合閉鎖の有無,縫合閉鎖のための腹壁再建法など,その術式は多岐にわたる。近年,Anterior CS(components separation)法,Posterior CS法,TAR(transversus abdominal muscle release)法など,ヘルニア門閉鎖および白線再建に重点を置いた治療法が導入されるようになり,腹壁瘢痕ヘルニア手術の主軸になりつつあるが3),剥離範囲が広範であり手技が煩雑となるため容易に導入できる術式とはいえない。とくに巨大ヘルニアにおいては,どの術式も難度や合併症率が高くなると考えられる。その点,IPOM(intraperitoneal only mesh repair)法はtension freeの概念で,白線再建は行わない術式であるものの汎用性が高く,腹壁瘢痕ヘルニア手術導入時にも安全に実施できると考えられる。
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