特集 癌外科医必読 腹膜播種の治療戦略と手術
Ⅱ.各論 3)大腸癌腹膜播種の治療戦略と手術
森川 充洋
1
,
五井 孝憲
1
,
呉林 秀崇
1
,
澤井 利次
1
,
片山 寛次
2
,
山口 明夫
3
1福井大学第一外科
2つくしの病院外科
3福井医療大学
キーワード:
大腸癌
,
腹膜播種
,
hyperthermic intraperitoneal chemotherapy
Keyword:
大腸癌
,
腹膜播種
,
hyperthermic intraperitoneal chemotherapy
pp.1557-1564
発行日 2022年9月15日
Published Date 2022/9/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000002966
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大腸癌腹膜播種は,血行性転移である肝転移,肺転移と比較し,予後不良の難治性の病態とされている。肝転移や肺転移と比較して切除のエビデンスに乏しく,薬物療法の効果も得にくく,早期に腹水貯留や腸閉塞の状態となり,予後不良の経過をたどることが多い状況にあった。近年,わが国からのP1・P2播種に対する切除の有用性の報告1)や薬物療法の発展から,大腸癌腹膜播種の予後も徐々に改善してきていると考えられる。2022年版の大腸癌治療ガイドライン2)では,上記の報告もふまえ,限局性転移(P1,P2)で過大な侵襲とならない切除であれば原発巣と同時に腹膜転移を切除することが強く推奨されている。また,2021年に腹膜播種診療ガイドライン3)が発行され,大腸癌治療ガイドライン同様にR0手術が可能な播種に対する切除が強く推奨された。さらに腹膜播種診療ガイドラインにおいて,欧米の専門施設を中心に行われている完全減量切除(cytoreductive surgery;CRS)+腹腔内温熱化学療法(hyperthermic intraperitoneal chemotherapy;HIPEC)について検討がなされたが,わが国でのエビデンスに乏しく現時点で明確な推奨はできないとされている。
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