特集 消化器外科における高齢者手術─各施設の工夫と留意点
Ⅰ.総論 3)高齢者手術におけるNCDリスクカリキュレーターの活用
鈴木 知志
1
,
裏川 直樹
1
,
金治 新悟
1
,
掛地 吉弘
1
1神戸大学大学院食道胃腸外科
キーワード:
高齢者
,
手術リスク
,
リスクカリキュレーター
Keyword:
高齢者
,
手術リスク
,
リスクカリキュレーター
pp.1519-1524
発行日 2021年9月15日
Published Date 2021/9/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000002413
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高齢者は生理的老化に加えて,病的老化が混在していることが多い。脆弱な高齢者に対する手術では過大な侵襲は合併症の併発につながりやすく,術前の状態への回復の著しい遅延や困難が生じれば,日常生活動作(activities of daily living;ADL)や生活の質(quality of life;QOL)を損なうことになり,長期予後も不良となり得る。そのため,全身状態を見極めて手術リスクを適正に評価することが求められる。高齢者の健康状態は,各種臓器機能に加えて身体機能,精神機能,認知機能,生活機能など多角的な観点から把握することが求められる。NCD(National Clinical Database)の巨大なデータを活用したフィードバック機能であるリスクカリキュレーターは,術式と背景因子の入力により合併症の発生率や手術死亡率を算出するものであり,個々の症例について客観的かつ具体的にリスクを予測することができるため,高齢者手術を考慮する際にきわめて有用な情報を与えてくれる。
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