特集 消化器外科における高齢者手術─各施設の工夫と留意点
Ⅰ.総論 2)高齢者手術における感染対策・周術期管理
北川 雄一
1
1国立長寿医療研究センター消化器外科/感染管理室
キーワード:
高齢者
,
消化器外科手術
,
手術部位感染症
Keyword:
高齢者
,
消化器外科手術
,
手術部位感染症
pp.1513-1518
発行日 2021年9月15日
Published Date 2021/9/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000002412
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わが国の総人口は,令和元(2019)年10月1日現在,1億2,617万人であるが,65歳以上人口は,3,589万人となっており,総人口に占める65歳以上の割合(高齢化率)は28.4%となった。また,わが国の平均寿命は,平成30(2018)年現在,男性81.25年,女性87.32年と,前年に比べて男性は0.16年,女性は0.05年上回った。今後,男女ともに,平均寿命は延びると見込まれている。今後,総人口が減少するなかで,高齢者が増加していくため,高齢化率はその後も上昇を続けると考えられる。こうした高齢者の増加に伴って,高齢者手術の割合も増加している。NCD(National Clinical Database)をみても,多くの消化器外科手術において,高齢者の割合が高くなっている1)。こうした状況が続くなかで,高齢者に安全な手術を提供するためには,確実な感染対策や厳密な周術期管理を行うことがきわめて重要である。また,全身的な合併症のみならず,周術期に感染症を生じると,離床が遅れたり,術後在院日数が増加したりするため,術後の日常生活動作(activities of daily living;ADL)が低下する危険がある。また,この間の在院日数が延長し,入院費用が増加することから,医療経済的問題も生じてくる。
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