特集 消化器・一般外科医のための腹部外傷外科手術講座
Ⅱ.各論 3)脾損傷の治療戦略と手術
石部 琢也
1
,
松島 知秀
1
,
重岡 宏典
1
1近畿大学病院救命救急センター
キーワード:
脾損傷
,
脾摘出術
,
TAE
Keyword:
脾損傷
,
脾摘出術
,
TAE
pp.965-970
発行日 2021年5月15日
Published Date 2021/5/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000002246
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脾臓は肝臓とともに外傷による損傷を受けやすい左横隔膜下に存在する実質臓器である。脾損傷に対する治療として,従来は積極的な脾摘出術が一般的であったが,脾摘出後の免疫能低下を考慮して小児領域からNOM(non-operative management)の概念が広まり,近年では成人でも広く受け入られるようになった。さらに,高精度CTによる損傷部位や程度の詳細な診断およびIVR(interventional radiology)の進歩により経カテーテル動脈塞栓術(transcatheter arterial embolization;TAE)を含むNOMが選択されることが多くなり,手術療法は全体の約10%にとどまっている1)。しかし,脾臓は脾動脈より主に栄養されているが,側副血行路もある血流が豊富な臓器であり,その損傷は容易に出血性ショックを起こし得る。
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