特集 高度進行消化器癌に対する手術
Ⅰ 上部消化管 6 術前化学療法後の胃癌に対する大動脈周囲リンパ節郭清術
片井 均
1
,
由良 昌大
1
,
大槻 将
1
,
山形 幸徳
1
,
森田 信司
1
,
吉川 貴己
1
1国立がん研究センター中央病院胃外科
キーワード:
局所進行胃癌
,
大動脈リンパ節郭清
Keyword:
局所進行胃癌
,
大動脈リンパ節郭清
pp.413-424
発行日 2019年3月31日
Published Date 2019/3/31
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000001128
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胃癌に対する大動脈周囲リンパ節の予防的郭清は否定されたが,日本胃癌学会 編『胃癌治療ガイドライン(第5版)』のCQ5の回答が「少数のリンパ節腫大がNo16a2, b1に限局して存在する場合と,腹腔動脈分枝周囲のリンパ節が切除可能限界近傍まで腫大している場合は,他に非治癒因子がなければ術前化学療法後の外科的切除を弱く推奨する」1)となっているように,大動脈リンパ節転移例に術前補助化学療法を行い,この部の郭清を行うことは選択枝の1つとしてあり得る。術前補助化学療法を行うと,その効果によって結合組織の線維構造が破壊され,線維化により著しく硬質化したり,著しい浮腫をきたすことがある(図1)。いずれも膠原線維がするりと削げなくなり,層を意識した手術が行いにくくなる。この手術を進めるためには,構造物の境が不明瞭となるので解剖の熟知が最重要である。不明瞭な中にあるリンパ管などをシールするため,エネルギーデバイスの有効利用も必要である。
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