特集 誌上ディベート肝胆膵外科におけるcontroversial surgery
1.腹腔鏡下肝切除におけるPringle法 2)行わないの立場から
加藤 悠太郎
1
,
杉岡 篤
1
,
棚橋 義直
1
,
小島 正之
1
,
木口 剛造
1
,
宇山 一朗
1
1藤田医科大学総合消化器外科
キーワード:
Pringle法
,
Glisson鞘一括法
,
解剖学的肝切除
Keyword:
Pringle法
,
Glisson鞘一括法
,
解剖学的肝切除
pp.255-263
発行日 2019年3月15日
Published Date 2019/3/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000001083
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Pringle法は1908年Pringleらによって報告された肝十二指腸間膜一括遮断による全肝流入血行遮断の方法である1)。肝外傷に対する画期的な処置として報告されたが1),その後,間欠的にこれを繰り返すことで肝切除時の出血量低減が得られることから多くの研究でその有用性は実証されている2)。また,近年普及し,一部の肝切除術式では標準的アプローチとされる腹腔鏡下肝切除においてもPringle法(以下,間欠的肝十二指腸間膜一括遮断の意味と定義する)はさまざまな手法を用いて行われ,その有用性が指摘されている3)。一方,腹腔鏡下肝切除においては,高難度術式がいまだ標準化されておらず比較的難度の低い術式に適用される頻度が高いこと,気腹圧による内在的な止血環境,拡大視効果による緻密な脈管処理,エネルギーデバイスの進歩などを背景にPringle法を用いずに出血量を低減し得る可能性もあり,Pringle法の要否はcontroversialと考えられる。
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