手術手技
膵切除後出血予防のための肝円索パッチ
岡田 健司郎
1
,
村上 義昭
1
,
上村 健一郎
1
,
近藤 成
1
,
中川 直哉
1
,
末田 泰二郎
1
1広島大学大学院医歯薬保健学研究科外科学
キーワード:
肝円索
,
膵切除後出血
,
膵液瘻
Keyword:
肝円索
,
膵切除後出血
,
膵液瘻
pp.1667-1673
発行日 2018年10月15日
Published Date 2018/10/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000000893
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術後膵液瘻(postoperative pancreatic fistula;POPF)は,膵切除後合併症のうち最も頻度が高く1,2),また,それに起因する膵切除後出血(postpancreatectomy hemorrhage;PPH)は,時に致死的となり得る最も重大な合併症の1つである。PPHの発生頻度は3~16.1%と報告されており3-6),それを減らすためにさまざまな手術手技や術後管理の工夫がなされている。PPHの予防策として,肝円索や大網を使用し,膵消化管吻合部へwrappingする手技7-9)が報告されているが,その有用性に関しては議論が分かれるところである。当科では,2017年1月以降,膵頭十二指腸切除(pancreaticoduodenectomy;PD)と膵体尾部切除(distal pancreatectomy;DP)症例において,PPH予防目的として,術中に動脈断端・動脈露出部位を肝円索にて被覆し,PD症例では膵消化管吻合部・肝管空腸吻合部と,DP症例では膵断端と,動脈断端・動脈露出部位とを隔絶させる肝円索パッチ法を導入したのでその手技を概説し,当科における成績を紹介する。
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