手術症例報告
腹腔内を占居する巨大な粘液囊胞腺腫の1例 ─腹膜偽粘液腫に進展するかの検討を含めて
康 祐大
1
,
加藤 礼保納
1
,
小倉 道一
1
,
君塚 圭
1
,
大原 守貴
1
,
三宅 洋
1
1春日部市立医療センター外科
キーワード:
粘液囊胞腺腫
,
低異型度虫垂粘液性腫瘍
,
腹膜偽粘液腫
Keyword:
粘液囊胞腺腫
,
低異型度虫垂粘液性腫瘍
,
腹膜偽粘液腫
pp.1191-1197
発行日 2018年6月15日
Published Date 2018/6/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000000761
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虫垂粘液囊腫は,『大腸癌取扱い規約(第8版)』の虫垂腫瘍分類のなかでは低異型度虫垂粘液性腫瘍(low-grade appendiceal mucinous neoplasm;LAMN)と虫垂粘液囊胞腺癌に該当するものと思われるが,術前に良悪性を鑑別することは一般に困難といわれている。また,従来から良性であっても内容液の腹腔内漏出は腹膜偽粘液腫をきたし予後不良となることがあるといわれているため,手術時には愛護的慎重な操作が必要とされている。今回,腫瘤の大きさが巨大ゆえに逆流性食道炎様症状を呈し,開腹手術時にゼリー状物質の腹腔内漏出を認めたものの,術後1年半を経過して再発を認めない虫垂原発と考えられる粘液胞腺腫を経験した。虫垂における粘液産生腫瘍に対しては術後サーベイランスの明確な規定がないが,予後不良となる腹膜偽粘液腫をきたす症例の臨床病理学的特徴を明らかにすることは,再発予防のための術式選択に加え,術後フォロー間隔や期間を決定するうえで非常に重要と考えられるため,文献的な考察を含めて検討する。
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