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腹腔鏡下膵手術は2006 年の「腹腔鏡補助下膵体尾部切除術および核出術」が先進医療として始まり,2012 年には良性もしくは低悪性度疾患を対象に「腹腔鏡下膵体尾部腫瘍切除術(原則としてリンパ節郭清を伴わないもの)」が保険収載された。2016 年には一定の施設基準と運用上の注意点付きで「腹腔鏡下膵体尾部腫瘍切除術」の(原則としてリンパ節郭清を伴わないもの)という限定条件が削除され,さらに「腹腔鏡下膵頭十二指腸切除術(原則として脈管の合併切除およびリンパ節郭清を伴わないもの)」が保険収載された1)。一方,NOTES(natural orifice translumenalendoscopic surgery)の発想から展開してきた単孔式腹腔鏡手術は新たな低侵襲手術として発展し,さまざまな手術に適応されてきている2)。まずは胆囊摘出術から適応され出し,その妥当性と安全性が示されつつある3)。また,完全単孔式にとどまらず,「低侵襲性を追求し,体壁破壊を工夫により従来型腹腔鏡手術より減少することを目的とした手術」という概念であるreduced portsurgery(RPS)も近年広まりつつある4)。完全単孔式腹腔鏡手術においてはcoaxial set up(モニター,術野,カメラポート,術者を一直線上に並べると最もeye-hand coordination が良くなるという原則)は実現可能であるものの,その難しさは, 左右の術者ポートと術野で作る三角(triangular formation と呼ばれる)が失われるところにある。しかしながら,完全単孔式手術にもう1 本5 mm ポートを足すことでtriangular formationの復活が可能となり,理論的には高難度手術にもRPS は施行可能となってくると考えている。
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