ダーモスコピー検査が臨床診断に有用であったSuperficial Epithelioma with Sebaceous Differentiationの1例

Usefulness of dermoscopy in the diagnosis of superficial epithelioma with sebaceous differentiation

82歳，女性。2年前より左側頭部に結節が出現し，徐々に増大した。初診時，左側頭部に自覚症状を欠く1.5cm大の扁平隆起した紅褐色結節があり，ダーモスコピー検査でyellow dotsが散見された。病理組織学的には，好塩基性で類円形の基底細胞様細胞が表皮と連続して内方向性に結節状ないし網状に増殖し，一部に脂腺上皮や脂腺管への分化がみられたことから，superficial epithelioma with sebaceous differentiationと診断した。本症は脂腺分化を示すまれな良性腫瘍と考えられている。顔面に好発し，脂漏性角化症，汗孔腫，日光角化症，Bowen病，基底細胞癌などとの鑑別が必要となる。臨床診断にあたっては，非侵襲検査としてダーモスコピー検査を行い，yellow dotsを確認することが有用である。