巻頭言
熱力学と皮膚科
金子 栄
1
Sakae KANEKO
1
1益田赤十字病院皮膚科,部長
pp.413-414
発行日 2024年4月1日
Published Date 2024/4/1
DOI https://doi.org/10.18888/hi.0000004496
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皮膚科を30年以上して思うのは,病名が多く,病名が病態を必ずしも示していないということです。20年以上前に専門医試験を受験するため,教科書を読んでさまざまな病名を覚えたはずですが,最近はさっぱり診断能力も落ちてきたように感じています。諸先輩方は,不断の努力にて知識を維持されているようで,大変尊敬していますが,元来,先攻逃げ切りの性格の自分は,なんとか楽にその場(診療)を乗り切りたいとばかり願っています。10年くらい皮膚科をした時に,尊敬する内科の副院長先生から,皮膚科は病名が多くて大変ですね,でも治療は大体ステロイドだから(簡単ですよね),と言われたことがあります。病名より病態で治療できれば,もう少し簡単になるかも,でも保険診療ではそれも叶わないなと思っておりました。楽をしたいというモチベーションが,自動車をはじめさまざまなものの発明に繋がったのかもしれないと思えば,それは悪いことではないかもしれないと日々の行動を言い訳しております。
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