憧鉄雑感
第136回 嗚呼! レーザー治療!
安部 正敏
1
Masatoshi ABE
1
1医療法人社団 廣仁会 札幌皮膚科クリニック
pp.1301-1301
発行日 2023年7月1日
Published Date 2023/7/1
DOI https://doi.org/10.18888/hi.0000004076
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新型コロナウイルス感染症が第5類相当となり,あれだけ恐れられていた感染症はどこ吹く風の如く様相である。ウイルスが消滅した訳でもなく,要は通常の “風邪” 相当の理解なのであろう。社会情勢を鑑み,筆者の勤務するクリニックでも遂に自費診療を解禁するに至った。大々的な告知はせぬものの,口コミとは恐ろしく想像以上のシミ取り希望患者が現れた。若き女性にとって,シミは新型コロナウイルス以上の敵であることは理解できぬ訳でもないが,皮膚科医の端くれとしてこの現象は発癌抑制であり,シミを敵視するのではなく感謝の念とともにシミとおさらばしてほしいものである。説明の際,妙齢女性に “老人性色素斑” などと説明しSNSに悪口を書かれては堪らぬので “日光黒子” などと説明する。さらに,皮膚科医として醇乎たる思いから「シミは自らあなたを癌から守るのです。いいですか~日光からあなたを守る黒い子供なのです!」などと武田鉄矢の如く説教すれど,既にそのドラマはとっくの昔に終わっており暖簾に腕押しである。シミ取りは患者の自己評価が厳しい分野であり,結果に満足せぬ場合も多くそのストレスから超高額に値上げをしたいが,いくら近年インフレとはいえ同業他院の価格もあり悩ましいところである。
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