- 有料閲覧
- 文献概要
一般市民への疾患啓発は誠に重要である。筆者が力を入れる我が日本臨床皮膚科医会は,毎年 “いい皮膚の日” に全国規模で市民公開講座を開催しておりなかなかの盛況である。新型コロナウイルス感染拡大防止のため近年はリモート開催も多く,参加者の生の反応がみられないのは残念であるが,自宅に居ながらにして視聴できるのは大いにメリットであろう。最近は,我がクリニックでも診療待ち時間の患者はほぼ例外なくスマートフォンを凝視しており,ここで疾患啓発動画などを視聴する環境を作れば申し分ない。製薬企業も疾患啓発に力を入れており誠に有り難い。特に乾癬やアトピー性皮膚炎は,新薬が多数登場し競争する状態であるためこの傾向が顕著である。北海道のある民放では,女性キャスター名を冠とする “病を知る” という番組がある。日曜早朝の放送ながら視聴率がいいとの触れ込みであるが,そこにはちゃんとしたビジネスモデルがあり,番組放送後インターネット動画として自由に視聴できる。表にこそ出ぬが製薬企業の協力により番組が成り立っており,筆者出演時には待合室掲示用番組宣伝ポスターを作成してくれ,理想にちょっぴり近づいた。そもそもこの番組は夕方のニュース番組の1コーナーとして誕生したが,ニュース時代筆者が出演を依頼されノコノコ出ていくと,台詞が全て決められており筆者はただそれを読むだけであった。斯様なことなら白衣を着た偽物でもいいと思うが,折角呼ばれたからにはせめて “次はお天気!” とでも叫んでやろうと企みニヤニヤしていると,それを察知したキャスターは殆ど自らの発言のみで番組を進めてしまった。結果,画面での筆者は無言を貫くさかなクンの如きであり,ならばさかなの帽子でもかぶればよかった。ニュースは誰もが見るようで,出演するとそこそこ患者の評判を得る。待合室で患者が見るコンテンツもニュースは多いようだ。
Copyright © 2023, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.