頭頸部壊死性軟部組織感染症の1例

Necrotizing soft tissue infection of head and neck region

64歳，男性。来院14日前に近医で炎症反応高値，糖尿病増悪，眼瞼腫脹を指摘された。当日，自宅で倒れているところを発見され救急要請となった。来院時頭頸部腫脹，左頸部皮膚壊死，採血で炎症反応の異常高値，CTで頭頸部全体の脂肪濃度上昇，試験切開で皮下に広範な壊死を認めた。外科的介入の同意が得られなかったため，抗菌薬投与のみを行ったが良好な経過をたどった。われわれが渉猟し得た範囲内では，非歯原性頭頸部壊死性軟部組織感染症は10例と稀有であった。また重篤な合併症，死亡報告もあったが，自験例は合併症なく軽快した。部位特有の合併症に注意することが重要であり，今回は幸い抗菌薬投与のみで軽快したが，なるべく早期の外科的介入が望ましいと考えた。