皮膚症状の経過を追えたCronkhite-Canada症候群の1例

Cronkhite-Canada syndrome：a case report with clinical follow-up of cutaneous symptoms

74歳，男性。初診8カ月前に便潜血陽性を指摘された。2カ月前より味覚障害と食思不振，体重減少があった。初診時，手足と口唇の色素沈着，足背の斑状脱色素斑，爪甲の萎縮とBeau線条，眉毛の脱毛を認めた。消化管内視鏡では，胃および上行結腸に多発ポリープを認め，病理組織学的に好酸球主体の炎症性ポリープ像があり，Cronkhite-Canada症候群と診断した。プレドニゾロン30mg/日内服1カ月で消化器症状は改善し，3～5カ月で皮膚症状も軽快した。Cronkhite-Canada症候群は良性の多発ポリポーシスであるが，長期的に胃癌や大腸癌の合併率が高く，治療後に皮膚症状の再燃例もあり，臨床経過を理解することは重要である。