Japanese
English
今月の主題 知っておきたいまれな大腸良性疾患
主題症例
Cronkhite-Canada症候群
Cronkhite-Canada Syndrome
平田 敬
1
,
蔵原 晃一
1
,
八板 弘樹
1
,
大城 由美
2
,
森下 寿文
1,3
,
渡邉 隆
1,4
,
小林 広幸
1,5
,
江﨑 幹宏
3
Takashi Hirata
1
1松山赤十字病院胃腸センター
2松山赤十字病院病理診断科
3九州大学大学院医学研究院病態機能内科学
4福岡大学病院消化器内科
5福岡山王病院消化器内科
キーワード:
Cronkhite-Canada症候群
,
大腸病変
,
消化管ポリポーシス
,
大腸ポリポーシス
,
鑑別診断
Keyword:
Cronkhite-Canada症候群
,
大腸病変
,
消化管ポリポーシス
,
大腸ポリポーシス
,
鑑別診断
pp.806-811
発行日 2017年5月25日
Published Date 2017/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403201084
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疾患の概念と疫学的特徴
Cronkhite-Canada症候群(Cronkhite-Canada syndrome ; CCS)は1955年にCronkhiteとCanada1)によって初めて報告された,消化管ポリポーシスに脱毛・爪甲萎縮・皮膚色素沈着などの特徴的な皮膚症状を伴う非遺伝性疾患である.現在までに世界で500例程度の報告にとどまる希少な疾患であるが,本邦からの報告が多く,既報の6割以上を占める.2013年に施行された全国調査では,2000年以降に本邦で診断されたCCS 210症例の平均年齢は63.5歳で,男女比は1.84:1と男性が多かった2).
CCSの病因は依然として不明であるが,病態としては,消化管ポリポーシスと炎症性変化によって蛋白漏出性胃腸症と吸収障害が惹起される.そのため,下痢を主徴とする症例が多く,約70%を占める.本症に特徴的な皮膚症状(3徴)である脱毛・爪甲萎縮・皮膚色素沈着は,初診時には50〜60%の症例にみられるのみであり,病初期に皮膚症状を欠く症例が少なくない2).各皮膚所見はCCS診断後の経過中にそれぞれ60〜80%の症例にみられ,そして,約90%の症例でいずれかの皮膚所見を認める2).血液検査所見では低蛋白血症,低ガンマグロブリン血症,電解質異常,貧血などを認めるが特異的な所見はない.消化管合併症として消化管出血(約10%)と腸重積(約5%)がある2).
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