特集 病態から考える薬物療法
第XV章 真菌症
3 マラセチア感染症
佐藤 友隆
1
Tomotaka SATO
1
1帝京大学ちば総合医療センター,皮膚科
キーワード:
マラセチア感染症
,
癜風
,
マラセチア毛包炎
,
脂漏性皮膚炎
,
分子標的薬
Keyword:
マラセチア感染症
,
癜風
,
マラセチア毛包炎
,
脂漏性皮膚炎
,
分子標的薬
pp.932-934
発行日 2022年4月20日
Published Date 2022/4/20
DOI https://doi.org/10.18888/hi.0000003294
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マラセチア感染症としては,癜風,マラセチア毛包炎がある。マラセチアは真菌のなかでもヒトの皮膚常在菌であり,脂質要求性の高い酵母様真菌である1)。ヒトに寄生するMalassezia属真菌はMalassezia(以下M.)globosa,M. restricta,M. furfur,M. sympodialis,M. japonicaなど10種類が知られている。国際宇宙ステーション内での1年の滞在で宇宙飛行士の皮膚に存在するM. restrictaの割合が増加するとの報告もある2)。これは脂漏性皮膚炎患者と同じ分布パターンである。普段の臨床の真菌培養にサブロー寒天培地を用いるのは常識であるが,マラセチアは脂質要求性が高いために単純なサブロー寒天培地では発育しない点を知っておくことが必要である。癜風に関与するマラセチアは,地域や人種によって異なり3),本邦では主にM. globosaとM. restrictaが関与している4)。癜風やマラセチア毛包炎の原因菌はM. globosaと考えられており,マラセチア毛包炎では菌糸型は臨床的に認められることが少ないために,診断には酸性メチレンブルー染色などの標本で多数の酵母型を確認する。
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