特集 病態から考える薬物療法
第XV章 真菌症
2 皮膚・粘膜カンジダ症
竹田 公信
1
Kiminobu TAKEDA
1
1金沢医科大学医学部,皮膚科学講座
キーワード:
皮膚・粘膜カンジダ症
,
直接鏡検法
,
Candida albicans
,
アゾール系抗真菌薬
,
イトラコナゾール
Keyword:
皮膚・粘膜カンジダ症
,
直接鏡検法
,
Candida albicans
,
アゾール系抗真菌薬
,
イトラコナゾール
pp.927-930
発行日 2022年4月20日
Published Date 2022/4/20
DOI https://doi.org/10.18888/hi.0000003293
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本邦における表在性皮膚真菌症の代表的な疾患として,皮膚糸状菌症(主に白癬),皮膚・粘膜カンジダ症,マラセチア症がある1)。最近の皮膚真菌症全体からみた各々の疾患の占める割合は,白癬85.2%,皮膚・粘膜カンジダ症11.2%,マラセチア症3.5%であり,カンジダ症は白癬の次に多い皮膚真菌症である。一般に皮膚・粘膜カンジダ症は浅在性と深在性に分けられるが,皮膚科で遭遇するカンジダ症のほとんどが浅在性である。カンジダは皮膚,消化管,口腔内,膣などに常在する菌であり,宿主に何らかの理由で免疫能が低下したときや,局所の湿潤など環境変化に伴いカンジダ症として発症する。局所的な要因として高温・多湿,不潔,密封環境が多いとされる。また動物実験においてカンジダ症の発症に細胞性免疫が関与することが実証されている2)。菌が角質層に感染し,菌由来の抗原物質が表皮内に拡散されると抗原提示細胞により処理され,T細胞に抗原情報が与えられる。その後,活性化されたT細胞により各種サイトカインが産生され,遅延型過敏反応により菌が排除される2)。その反応の結果,落屑を伴う紅斑,小丘疹,小膿疱,小水疱などが形成されると考えられている。本症は多彩な臨床像を呈し臨床経過も多様であり,また皮膚と粘膜など発症部位により所見が異なるため,湿疹性病変と誤診されることも少なくない。そのため治療に先立って真菌検査により菌の確認が必須である。
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