今月の表紙 表在性真菌症の臨床検査シリーズ
癜風その他の皮膚マラセチア症
山口 英世
1
,
内田 勝久
1
,
楠 俊雄
2
1帝京大学医学部医真菌研究センター
2くすのき皮膚科
pp.250-251
発行日 1996年3月15日
Published Date 1996/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542902844
- 有料閲覧
- 文献概要
癜風は,皮膚糸状菌症(白癬),皮膚カンジダ症に次いで発生頻度の高い表在性皮膚真菌症として知られる.原因菌はMalassezia furfur(癜風菌)と呼ばれる不完全酵母である.癜風以外にも,本菌はマラセチア毛包炎を引き起こすことがあり,また脂漏性皮膚炎の原因になることもほぼ確かめられている.そのためこれらの疾患をすべて含めて皮膚マラセチア症と呼ぶことがある.
癜風の診断には直接鏡検が不可欠である.病巣をメスの刃でこすって採取した鱗屑またはダブルスティックテープで患部角層を剥離したものを検体とする.これをスライドグラスに載せ,苛性カリ法または染色を兼ねたパーカーインク・苛性カリ法による処理を行って観察する.図1に示すように,M. furfurは病巣内で二形性を呈し,菌糸形と酵母形とが混在する.菌糸はCandidaや白癬菌のそれよりも太く(幅2.5~4μm),長さは比較的短い(10~40μm).一方,酵母細胞は直径3~8μmの球形を呈し,桑実状に集簇している.このような本菌の病巣内形態はきわめて特徴的であり,この直接鏡検所見が癜風特有の臨床症状を伴う患者で得られれば,ほぼ診断は下せる.しかし診断を確実にするためには,以下に述べる培養検査が必要となる.
Copyright © 1996, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.