特集 外来でよく見る子どもの皮膚疾患―臨床写真で覚える!
真菌感染症
マラセチア毛包炎
佐藤 友隆
1
SATO Tomotaka
1
1帝京大学ちば総合医療センター皮膚科
pp.1360-1362
発行日 2022年8月1日
Published Date 2022/8/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000341
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原 因
マラセチア毛包炎(Malassezia folliculitis:MalF)は毛包でのマラセチアの定着や異常増殖が関与する炎症性皮膚疾患である。マラセチアはヒトの皮膚常在菌であり脂質要求性の高い酵母様真菌である1)。最新のレビューではMalassezia属真菌は18種類あり,ヒトに寄生するMalassezia属真菌はMalassezia globosa,M. restricta,M. furur,M. sympodialis,M. japonicaなど11種類である2)。癜風やMalFに関与するマラセチアは,地域や人種によって異なり,わが国では主にM. globosaと考えられている3)。思春期ごろに脂腺の活動性が高まりとくに頭皮,顔面,体幹で脂質増加を認める。この状態が脂質要求性の高い微生物,とくにCutibacterium acnes(Propionibacterium acnes)やMalassezia属真菌の増殖を促す。しかしながら,どのような生物学的因子が関与して皮膚の常在菌叢が崩れ尋常性ざ瘡やMalFが生じるかは明らかになっていない。
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